なぜFOXサーチライトはアカデミー賞に強いのか?独断と偏見を交えて考えてみた

映画

 

『女王陛下のお気に入り』日本版予告編

アカデミー賞常連になった「FOXサーチライト」 通好みの映画会社

 

FOXサーチライトは、20世紀FOXの子会社である。メジャー作品とは一線を画して、作家性の強い作品を提供している。

と言っても、世界的な監督を起用し、予算もそれなりに投じているようだ。日本の独立系配給会社(インデペンデント)とは規模も企画力もまったく比ではない。大手配給会社(メジャー)の大作と違って、監督やプロデューサーらのクリエイターのアイデアをそのまま実現させてあげようという心意気が人気の秘訣のようだ。

過去のアカデミー作品賞を調べてみると、『スラムドッグミリオネア』『それでも夜は明ける』バードマン あるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡』『シェイプ・オブ・ウォーター』の4作品、他に主演女優賞など主要部門を毎年受賞している。

スラムドッグミリオネア』と『それでも夜は明ける』の日本配給は、GAGA(ギャガ)だった。20世紀FOXに優先的な配給権があったのに、アカデミー賞の発表前にGAGAに配給権を奪われた形だ。いずれも秀作である。

ハリウッドに台頭したメキシコ人監督

 

バードマン あるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡』は、2015年のアカデミー作品賞だ。

メキシコ人監督のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥは映画『バベル』で役所広司をキャスティングしたことで日本では知られている。

バベルは『旧約聖書』創世記第11章にある町の名。町の人々は天まで届くバベルの塔を建てようとしたが神はそれを快く思わず、人々に別々の言葉を話させるようにした。その結果人々は統制がとれずばらばらになり、全世界に散っていった。この故事を背景に、「言葉が通じない」「心が通じない」世界における人間を描く。(出典:Wikipedia

『シェイプ・オブ・ウォーター』の監督は、これもメキシコ人のギレルモ・デル・トロ。スペインで製作した『パンズ・ラビリンス』で独特のファンタジーが話題となった。

今年、『ROMA』(FOXサーチライトではなくNetflix製作)でアカデミー作品賞か、と騒がれたアルフォンソ・キュアロンもメキシコ人で、この3人が「チャチャチャ・フィルム」という製作会社を立ち上げている。

まだ、ヒット作は出ていないが。恐るべし、メキシコ人監督たち。

パンズ・ラビリンス』(原題: El laberinto del fauno, 英題: Pan’s Labyrinth)は、2006年のメキシコ・スペイン・アメリカ合衆国のファンタジー映画。日本公開は2007年10月6日より。監督・脚本はギレルモ・デル・トロ。PG12指定。内戦後のスペインに生きる薄幸の少女を描くダーク・ファンタジーである。(出典:Wikipedia

最近のハリウッド映画は、こうしたメキシコ人監督の旋風など、新たなムーブメントも感じられる。

FOXサーチライトは、こうしたメキシコ人監督をうまく起用し、ヒットを重ねてきたのだから、今後の作品には当然、映画ファンが注目すると思う。

 

アカデミー賞主演女優賞『女王陛下のお気に入り』

 

今年のアカデミー主演女優賞は、FOXサーチライトの2018年度一押し映画『女王陛下のお気に入り』から女王役のオリヴィア・コールマンが受賞した。

今まで大作にも出演していたようだが、おそらく日本で彼女を知る人は少ない。

『女王陛下のお気に入り』は女性の三角関係物語で、実は、この女王役の彼女より、レイチェル・ワイズやエマ・ストーンが女王以上に張り切って演じたのだから、知名度から言っても、この2人押しで売る映画である。

日本公開は無名なオリヴィア・コールマンを前面に出して宣伝することになったが、3人とも主演にふさわしいと思った。

映画通にはオリヴィア・コールマンの演技は感動するらしい。

ある評論家が左と右の顔の表情を使い分けている、などと言っていたが、私にはわからなかった。

それよりレイチェル・ワイズの男勝りな言動、エマ・ストーンの狡猾さ、この2人の血なまぐさい対決が脳裏に焼きつく。ただ、私には後味の良い映画ではなかった。

 

アブノーマルな人間を徹底的に描く「FOXサーチライト」

 

すべての作品を見ているわけではないが、最近のFOXサーチライトに登場する人物たちは、アブノーマルな人たちばかりだ。

『女王陛下のお気に入り』の3人の女優たちのわがままぶり、『スリー・ビルボード』の凶暴な母、『シェイプ・オブ・ウォーター』の怪物に恋する女・・・

この非現実感が映画としての醍醐味と言える。

だが、私のような中年期を生きる者にとっては何とも刺激的過ぎて、感情移入するのが大変だ。

FOXサーチライトは、普通の大人にはあまり優しくないのかもしれない。しかし、普通の大人でないクリエイターの夢を叶える場所なのだ。

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