レディー・ガガの「アリー/スター誕生」がなぜ大ヒットしないのか?宣伝マンの視点

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映画『アリー/ スター誕生』予告【HD】2018年12月21日(金)公開

膨大な有名人コメントの効果は?

 

オスカー候補No1と呼び声の高い、レディー・ガガ出演の「アリー/スター誕生」。興行成績ランキングでは、なんと初登場6位だった。

2か月前公開の「ボヘミアン・ラプソディ」や、1か月前に公開された「ファンタスティック・ビースト」に余裕で負けているのだ。

「アリー/スター誕生」は強力な宣伝力で世の中に浸透していると思われた。テレビCMもガンガン流れ、ユーチューブでは数々の著名人インタビューも流れている。

昨年10月の東京国際映画祭ではオープニング作品にも選ばれ、その時は、寺島しのぶがスペシャルゲストとして、この映画のためにレッドカーペットを歩いた。なぜ寺島しのぶだったのかは未だに分からない。もちろん大物感での起用だろうが、コメントも予想以上のものは出なかった。

話を戻すと、映画の公式HPには何十人もの絶賛コメントが並んでいる。無名な映画ライターからマツコ・デラックスまで。これだけの人が褒めちぎっている映画だ。マツコ・デラックスとLiLiCoはテレビCMでも使われており、確かにそのコメントはなるほど、と思わせる。

レディー・ガガは絶賛されて当然だが、彼女のファンは少ないのではないか。監督・主演のブラッドリー・クーパーを褒める人が圧倒的に多い。映画を見ると、俳優の彼が素晴らしいロックミュージシャンなので、そのための努力も推察して褒めてしまうのはうなずける。

レディー・ガガのファン層が20代・30代だとすれば、若手ミュージシャンや女性タレントを起用して、若い人たちを引きつけたかったのだろうが、いかんせん、この年代は映画館に足を運ばない。

そもそもレディー・ガガの熱狂的ファンは日本にどれくらいいるのだろうか?

映画館に足を向かわせるバロメーターとして、著名人コメントが効果を発揮するのは、その映画監督や主役の大ファンであるとか、映画のテーマに共感している専門家のコメントだ。

「見れば感動する映画」というのは浸透したのかもしれないが、作品の根底にあるスターの悲劇や嫉妬など人間臭いドラマが、短いコメントからは伝わってこない。

1976年バーブラ・ストライサンド主演の「スター誕生」と、内容は変わらないのだから、時代を超えても素晴らしい映画なのだということを伝えてくれる人がほしかった。

 

レディー・ガガと美空ひばりの相似性

 

レディー・ガガの歌のうまさは折り紙付きだ。

彼女のエキサイティングなステージを知っていると、映画の重要なラストシーンでの控えめな歌唱は期待以上のものではなかった。

クーパーが初めて彼女をステージに上げて歌わせる「シャロウ」のメロディと彼女の絶唱は圧巻だ。あのサビをテレビCMで何度も聞かされているのだから、「来た!来た!」と盛り上がる。

序盤のドラァグバーのシーンで歌う、エディット・ピアフの名曲「ラヴィアンローズ」には驚いた。ロックではなく、フランス語で歌うシャンソンだ。

歌を作る場面でのハミングですら名曲に聞こえた。歌同様、彼女の演技もよかった。

エンターテナーとしてのレディー・ガガは、歌も演技もすべてのジャンルを超越していて、表現者としては天才なのだ。

ふと美空ひばりを思い出した。

何を歌わせてもNo.1だ。演歌に加え、ポップス、ジャズ、クラシック、何でもこなす。英語もうまい。若い頃は映画にも多数出演し、人情時代劇の股旅ものではその立ち回りも美しくこなしていたし、淀みのない台詞回しに引き込まれたものだった。

昨日発表されたゴールデン・グローブ賞で「アリー/スター誕生」はたくさんノミネートされたが、結局、「シャロウ」の主題歌賞のみにとどまった。これでは、次に控えるアカデミー賞の主要部門オスカー受賞は不安だ。

ゴールデン・グローブ賞の作品賞と男優賞(主演:ラミ・マレック)を獲得した「ボヘミアン・ラプソディ」。この映画と同じジャンルの音楽映画、しかも同時期の公開で、「アリー/スター誕生」の大ヒットに邪魔が入った格好となった。

映画館に足を運ぶ中高年が大好きなクイーンは、リピーターが相次いだ。レディー・ガガの「スター誕生」が今ひとつ大ヒットしていないのは、彼女の歌と演技が秀悦なだけに残念ではある。

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